「ヒサ……」 後ろから腰に回された手が、いつの間にか私の頬に触れた。 そっと開いた目から、涙が落ちるのがわかった。 月あかりで照らされた、センパイの横顔。 目が合うと 一瞬、めまいのような感覚。 止まらない鼓動が、苦しくて…… 痛くて…… 私はもう一度目を閉じた。 そして センパイの温かい唇が 私の唇に重なった。