夕日も沈み、空にはいくつもの星が見える。
チラチラ揺れる炎。
点々と並ぶ、淡い光の照明。
ぽかりと浮かぶ炎に照らされた大イチョウから、ハラハラと葉が舞い落ちる。
とてもキレイ……。
図書室から見る大イチョウの美しさを、どうして誰も気付かないのかと、不思議に思ってしまう。
「ヒサ、そろそろ行くよー」
「あ、うん、まってー。
背中のファスナーが……」
ドレスの背中のファスナーが上手く閉まらず、モタモタしてしまう。
「ヒサー、なに後ろ閉まんないのー?」
「うん、とどかないー、しめて~」
私は思い切り手を背中に伸ばした。
「あっ」
「え?」
いきなり何かに驚くような声が聞こえた。
「何ー?どうしたのー?」
背中に手を回したまま、身動きがとれない。
「ねー、どうし……」
そう言いかけた時、背中のファスナーが少し上がった。
「あ、ありがと」
