「シンデレラ?」
「そう、シンデレラ」
いつも下したことのない長い髪をくるくると巻き、前の髪は少し高めにピンで留める。
そこに小ぶりのティアラが乗った。
「階段を走り降りる、シンデレラのイメージなの。
長い髪をふわりとなびかせて……」
「うん、わかる、ヒサすごく綺麗だもん……」
「ありがと……今までこんなカッコしたことなかったから……」
「アタシだってー」
「うん、みんなそうだと思う。
こういう恰好出来る機会なんて、ほとんど無いし。
きっとみんな、自分が変身出来ることに喜んでると思う」
田辺さんがそう言った。
「うん、みんながそう思って楽しんでくれたら、それだけで嬉しいな」
私みたいに興味のなかったオシャレを、めーいっぱいして、数時間だけの舞踏会。
一夜の夢________……。
