きっと、みんな、みんな、そういう思いをしているんだろうなぁ……。
私はそれをイメージしてたんだ。
みんなが変われる瞬間。
真夏の夜の夢……。
季節はもう秋だけど、夢の一夜……。
「ヒサ、紫好きだったっけー?」
友達が私のドレスに触れながら言った。
「うん」
「そのドレスの色も形も、柏木さんにすごく似合ってる」
私は、紫のロングドレス。
足を出すのも嫌だったんだけど、この形のドレスを見てすごく気に入ったんだ。
リボンやレース、なんの飾りもないシンプルなサテンのドレスだけど、裾にむかって大きく広がっているのが、とても気に入っている。
「髪はね、シンデレラをイメージしたの」
そう言いながら、田辺さんはもう一度髪を直してくれる。
