「私がやってもいいわよ」
その言葉に、私たちは振り向いた。
「田辺さん!」
学園祭の準備をしていた田辺さんが、そこに立っていた。
「え……」
「ヘアメイク。
私がやってもいいわよ」
「……」
「言ったでしょ。
うち美容室やってるって。
だから、私も多少ヘアメイクには自信があるの」
「……でも……」
私が口ごもっていると、田辺さんは優也センパイを見つめた。
「生徒会長……楽しそう」
「え?」
「なんだかずっと元気なかったから……。
彼女と別れてしまったからか、色々疲れているのか、気もそぞろっていうか……。
毎日なんだか考え事ばかりして……。
あんな楽しそうな顔、久しぶりに見た」
「……」
私もセンパイを見つめた。
