入学式の始まる講堂を目指す。




息を切らして走って来たけど、まだ入学式は始まってないみたい。




ザワザワと騒ぐ新入生たちが、講堂へ入って行くところだった。




その中にそっと紛れ、中学から同じクラスの友達の姿を探す。




「はぁ……」



とりあえず間に合ってよかった。




私はホッと息を吐きながら、左手を胸に当てた。








「ん?」





その左手に違和感。



見ると、左手の薬指に2つの指輪がはめられていた。






「!?」





下にはぶかぶかの大きな指輪。

その上に、下の指輪が外れないよう、ぴったりサイズの指輪が重ねて2つ付けられていた。