奈落と純愛


 確かに、月面模様がくっきり見えるような大きなレモン色の月だ。

 冬だから、空気も澄んでて、星だって見える。

 きれいだけど、首が痛いから、すぐに戻してしまった。

「きれいじゃね?」

「……ロマンチストですこと」

「そーでもない、けど」

 女子のわりにきれいなものに感動が薄くって、ちょっと申し訳ないような気もするけれど。

 陸の方も、天文系、そんな好きだなんて思っていなかった。

 わたしの記憶違いだっただろうか。

 中学生の時、地学のテスト範囲がやばいからノートを貸してくれと、頼まれたことがあった気がするのだけれど。