奈落と純愛


 あんまり土地勘のある街じゃない。

 でも、何度か通った後なので、迷うこともなかった。

 コンビニから少し行って、さびれた商店街に入る。

 お店にはほとんどシャッターが下りていた。

 通行人もほとんどいない。

 通りがかるのは、自転車でパート先から帰宅しているらしいおばさんや、犬のさんぽをしているようなおじいさんくらいのものだ。

 手をつないで歩く高校生ふたり、誰かに見咎められるようなことはなかった。

 八百屋さんの看板を目印に左に折れ、細い小路をずっと真っ直ぐ行けば、いつものとこ――公園だ。