その声に

「は~い!!」

と大声で答えたレンは

「みんな、ごめんね じゃあまた」

と囲まれていた輪を抜け出し、走っていってしまった

「またって・・ 明日からサマーバケーションなのに・・・」

とレンとなんの約束も取り付けられなかった友達は、レンの後姿を恨めしそうに見るしかなかった

「姫花~ 遅いって・・・」

「ごめん、ごめん・・ 今日ハリケーンが来るって言うからさ~」

「その包帯って・・・」

「ちょっと手元が狂ってさ~」

と苦笑いの姫花と呆れ顔のレン

そんな二人の会話を聞いていたのか

「窓の補強ですか?」

と同じく子どもを迎えにきていた男性が口を挟んだ

「えぇ・・ 普段しない事なんで、どうもうまく行かなくって・・」

「女性には大変な作業ですよ 良かったらお手伝いさせてくだい」

レンはうんざりした顔でその男の顔を見上げ、そのまま視線を落とした

その視線の先にいるのは、同じクラスのジェイ

ジェイの母親は、彼が2歳の時に病気で亡くなっており、父親と二人暮らしだった