驚いている潤也に

「はい!!」

と自分の手をさらに突き出してくるジュディ

わけのわからないまま、潤也はその手を握った

ブンブン と握手を交わし、ジュディは潤也の手を離す

手の平に残る異物感に、潤也は自分の手を広げてみると、鈍くひかる鍵が乗っていた

「今のは、お別れの握手よ?」

そう言うジュディに驚いて顔をあげる潤也

「あなたと添い遂げることは叶わなかったけど、良い友人関係は築くことができたと思っているわ でも、私も女よ? 人肌恋しい夜のあるの いつまでもここにいたら、男ができないわ」

とジュディは笑った

「・・・・・・」

「離婚届・・ 早く出しなさいよ?」

とジュディはハグすることもなく、潤也に背を向け、手をヒラヒラ振り、大きなキャリーケースを引っ張って潤也と過ごした部屋を後にした

バタン

と締まる無機質なドアの音にようやく我に返った潤也はあわてて、窓から下を覗き込んだ

しばらくすると、エントランスから出てきたジュディ

そして、そんな彼女に駆け寄る一人の男性

二人は、抱き合い、キスを交わした

その光景を見て、「ハッ」と鼻で笑い、部屋の中へ引っ込んだ潤也が、車に乗り込む直前にジュディが一度二人の部屋の方を仰ぎ見たことは知らない

最後に“男ができない”と言ったジュディだったが、本当はそうじゃなかったという事実にどこかホッとしている部分もあった潤也だった