「最初、誰も姫花がいなくなった事に気がつかなかったんだ・・・」

「・・・・・」

「がっくんは、りんのトコで半同棲状態だったし、みんなも仕事が忙しくてそんなに頻繁に連絡とっていなかったし・・ 俺だって・・・」

と賢次はうなだれた

「・・・で、誰が気付いたんだよ?」

「・・・・・」

「がっくんがそんな調子じゃあ、賢次・・ お前が気付いたんだろ?」

潤也のその言葉に賢次は顔を上げた

「・・・俺なんか、それ知ったの今だし?」

と潤也は自虐的に笑った

笑うしかなかった

「誰にも言わずに行ったんじゃねぇよ・・ 誰にも言えなかったんだよ・・」

潤也は顔をゆがませながら話す

「俺もお前も・・さ 日向さんが逝って、壊れかけた姫花が立ち直ったと思った 弱った姫花に漬け込む事も頭をよぎったろ? でも、出来なかったのは、日向さんに堂々と向き合える男になって、姫花の前に立ちたかったから、あえて国を出て、勝負してる ・・と思ってた でも、実際はさ・・ きっと逃げていただけなんだ・・ 自分が弱いから・・ なんだかんだ“大義名分”を引っさげて・・ 結局俺らはかっこつけてただけ・・ 姫花の話を聞いてやらなかったんだ・・ 」

潤也は自分に言い聞かせるように、話し、その目はどこか遠くを見ているのだった



潤也が姫花失踪の事実を知ったのは、姫花が成田を経って丸2年が過ぎようとしている頃だった・・・