「何してるのかしら?」

と言う姫花に眉をひそめる夫婦

「アッ」

突然声をあげた姫花の視線の先をみる夫婦

姫花の視線の先にあるテレビはアカデミー賞の予想をしていた

「今年は主演よりも助演の方が話題性があるな」

とケンは画面に映る候補の4名を見る

その画面を見て固まった姫花は、少し大人びた潤也の姿だった

「そういえば、ひとり日本人が入ってるのよね~」

とマーサ

「ったく男前はどの国にもいるもんだなぁ」

と感心しているケン

「でも、この日本人、レンに似てるわね~」

と何気なく言ったマーサの一言に姫花はテーブルのカップを倒してしまう

「おっと! 大丈夫か?」

ケンがすぐにこぼれたコーヒーを拭いてくれる

「ごめんね ありがとう」

その様子を黙ってみているマーサ

「今、新しいの淹れてくるからな」

とカウンターに入っていくケンの姿を見たマーサは姫花の隣に座り、ジッと姫花の目を見ている

「・・彼が父親なの?」

「・・・・・・」

「そうなのね・・」

「・・・・・・」

「無言は肯定ということになるわよ?」

「・・・・・・」

「パパにそっくりじゃない」

そう言って、レンを抱きしめるマーサを姫花は驚いてみていた