Afther 姫☆組 (姫シリーズVol.4) 【完】

AQUAを出たガクは、最近乗り換えた新車、ハマーに乗り込んだ

親父からAQUAを買い取って以降、AQUAでアルコール類は一切口にしていない

経営者として、自分が酔ってしまうのは、違う気がしたからだ

賢次の言葉や、姫花の事を考えながら運転する

久しぶりに帰ってきた家

広いガレージの並ぶ車の中に、姫花の装甲車もあった

ガクは少しホコリをかぶったボンネットを横目に、ガレージを抜け玄関の前に立った

防犯上、家の明かりはつくようにタイマーでセットされているので、庭の外套もついているし、家の中に明かりも漏れている

セキュリティーを解除し、ガクは玄関のドアを開け、中に入っていった

「ただいま~」

いつもなら、愛犬のAQUAが走ってくるのに、今日はその気配すらない

ガクは、リビングのドアを開け、そのまま進んでいく

見慣れた家具が並ぶ

そのままキッチンへ入っていく

いつもはテーブルに飾ってあるフラワーアレンジメントの籠がない

姫花が毎週、新しいものに取り替えていたのだ

冷蔵庫に手を掛け、恐る恐る開けてみると、ガクがお気に入りのミネラルウオーターが入っているだけだった

いつも隣に並んでいる、姫花のお気に入りのミネラルウオーターもなく、野菜室もチルドも空っぽだった

ガクはそれを見て、2階へ駆け上がっていく

バンッ

ノックもせずに姫花の部屋のドアを開けた

ソファとベットにかかる大きな布

埃がかぶらないようにと姫花がかけていったのだろう

その光景は、この部屋の主が、いないことを表すのに十分だった