「どうした?」

ガクは、りんを心配そうに見つめた

「姫花と最近連絡取ってる?」

りんから出た思わぬ人物の名に驚いたものの考え込むガク

「ん~ この前メールしたくらいで、直接は会ってねぇな・・ なんかあった?」

ガクはりんの腕をひっぱり、自分の隣に座らせる

「何もないよ? 何もないから気になるんだよね・・」

とりんは考え込む

「そうか? 気にしすぎじゃねぇの? あいつもやっとこの仕事の良さがわかってきたみたいだし、立ち上げたブランドの事もあるし、忙しいんじゃねぇの?」

とガク

「そうかな? そうだといいんだけど・・」

気にはなるものの、実の兄であるガクにそう言われるとそうなんだという気になるので、りんはそれ以上考えないようにすることにした

ガクも一緒に住んでいれば、姫花の体の変化や気持ちに気がつくことも出来ただろうが、りんと過ごす時間の心地よさに負け、あの大きな家で一人で暮らす妹が気にもなりつつもわざわざ行く事はしなかったのだ


一方、姫花はあの食事会のあと、検査薬で確認してみたところ、ほんの数秒で現れたくっきりと出た陽性反応に戸惑いつつも、産まないという選択肢はなかった

反対に、どうすれば、この子を守れるのか・・という事を考えていたのだった

日本では産まない・・ いや、産めないと姫花はすぐに結論を出した

今はまだ目立たないお腹も、自分の体型なら早くからバレてしまうかもしれない

ギリギリ待っても6ヶ月が限度かもしれないと考えた

それ以上になると飛行機に乗れなくなるかもしれない

いくら産まないとしても、それまで病院にいかないのは不安があったが、産科はどこも混んでいる

待合室で他の妊婦に自分だとバレてもおかしくない

その前に、仕事が詰まっていて、待合室に長時間居るほど、時間がない