食事も進み、ワインのボトルも1本空いたころ

「ねぇ、ふたりはいつ籍いれるの?」

姫花はガクとりんに視線を向けた

「ブホッ!!!」

ガクは飲んでいたワインを思わず吹き出し、りんは姫花を見て固まってしまった

「え?なんかおかしなこと言った?」

姫花はそんなふたりの様子を気に止めることなく、食べ続ける

「突然どうしたのよ?」

未だにむせているガクの背中をたたきながらりんが姫花を見た

「突然って・・ 実際、ふたりがいつから付き合っていたなんて知らないけど、でももう結構経つし、アニキもりん一筋って感じだし、仕事も順調だし、別になんの問題もないんじゃないかな~って思っただけ りんの事、お姉さんとは呼べそうもないけどね~」

姫花はニヤニヤしながら二人を見た

「こんな小姑がいたら誰も嫁に来てくれねぇよ・・ お前が先に嫁に行け!!」

と復活したガクが姫花に反撃する

「嫁にもらってくれる人がいないんです~ あ~無神経なアニキ~」

と姫花はワイングラスだけ持って立ち上がった

「姫、もう終わり?」

食べているようで、量はそんなに食べていなかった事に気づいていたりんは姫花を見上げる

「もうすぐ水着の撮影があるんだって~ じゃあ、片付けお願いね~」

そういって、姫花は手をヒラヒラ振りながら、自室へ戻っていった

姫花はこの日を境に、少しずつ周囲と距離をとるようになっていったのだが、学校も卒業し、同じ業界とはいえ、働いてしまうと約束でもしなければなかなか会う機会も減り、一番仲の良かったりんでさえ、そのことに気づいたのはカレンダーを数枚めくった時だった

「ねぇ・・ ガク?」

「どうした?」

「最近、ここにばっかり泊まっているけど、帰らなくていいの?」

学生のころのように簡単にあえなくなったガクとりんは自然と半同棲状態になっていたのだ