早乙女くんは見かけによらず✕✕



でも、なかなか言えないの。
言おうと思っても、口が動かない。


前に琉斗に聞かれたことがある。

付き合い始めた頃、『なぁお前、俺のことどう思ってんの?』って。

ちゃんと好きだよ。
そう伝えたいのに、なかなか口が動いてくれない。

言ったところで、信じてくれる?
あたしは何てことを琉斗に言わせてるんだろう。

ぐるぐるぐるぐる。
頭の中で色んなことを考えてるうちに、相手はいつも呆れて離れていく。


きっと今回もそう。
なかなか好きと言ってくれない彼女なんか可愛さのカケラもないって、また離れられちゃう。

そう覚悟してたのに、琉斗は

『……って。なんつーこと聞いてんだろ俺。

ごめんな?
ゆっくり、俺達のスピードで歩いていこう。

沙里が俺のこと好きだって思った時に、言いたい時に言ってくれて大丈夫だから。待ってるから。大丈夫だよ』