その腕は、心なしか震えているように感じる。
「……離してよ。」
そう呟けばさらにギュッとキツく巻き付く腕。
強引じゃなくて、強くてもしっかり優しい琉斗の腕に心地いいなんて感じてしまうあたしはバカなのか。
「あたしのことを否定するならすればいい。
学校での噂も、あたしは全く気にしてないから。あたしがいいって思ってるから噂されてもあなたと居たのよ。
まあそれもあなたが否定するならあたしは別にあなたの事を追わない。」
冷たく、淡々と語るあたしが怖かったのか。
一瞬ビクッとなったけど、知らんぷりした。
「てことで離してもらえるとありがたいんだけど?」
その言葉が引き金だったのか、視界がぐるんとまわった。
「……っ!ん、…っ」
唇に甘く暖かい感触。
それは、なかなか離れることをしない、冷えた氷のような心を必死に溶かそうとする水のような。

