食べ終わると、もう無くなってしまったのかという切なさと、至福で満たされ

た満足感を味わった。

華奢なデザインのスプーンをカチャリとそこに形跡を残した小皿に置いた。

ふぅ、と幸せの溜息をこぼす。

思わず笑みが溢れそうで人前だと自重する。

このお店が静かでよかった。

この小さな宝石に詰められる幸せを噛み締めるためには、お店の環境も大事だ

と私は思う。

店内は控えめな照明で落ち着いており、広い空間を生かして個々の間隔が広

い。そのお陰で、寂しく一人で至福を満たす私のような人にはもってこいだっ

た。

さらに美味しいからみんな夢中になって味わうので、集中して食べられるの

だった。

久しぶりの幸せだった、と感じることができた。