それよりも、気になるのは叶愛
楽しそうに笑いあって歩いている。
なんなんだよ...
「ねぇ、やっぱりイヤだった?」
今度は不安そうな表情で尋ねる紗綾ちゃん
あ、いけねぇ。
俺は今彼女といるんだった。
叶愛の事なんて気にする必要も無いのに
「イヤじゃねぇって」
少しぶっきらぼうな言い方になってしまった。
「ほら、怒ってるじゃん!」
泣きそうな顔で俺を見る紗綾ちゃんを
俺は抱きしめた。
「怒ってねぇよ」
「よかった...ごめんね」
なんとか喧嘩にならずに済んだ。
俺の喧嘩相手は叶愛だけで十分だ。
喧嘩つっても言い合いだけどな。
「紗綾ちゃん、好きだよ」
「ふふっ、ありがとう。私もだよ」
そういって照れたように笑う彼女
叶愛への訳の分からない気持ちを
振り払うように俺は紗綾ちゃんを好きだと言った。



