【完】キミからの“好き”がほしいだけ




「んー、叶愛は…秘密」


なによそれ。


秘密…?
そんな事言われたら期待しちゃうでしょ?



「何よ、秘密って。

あー、ほらほら
紗綾ちゃんが可哀想でしょ」



“紗綾ちゃん”

その単語を出すだけでも

あたしの心はかなりダメージを喰らう。

だけど、彼のために傷つくことも承知の上で名前を口にする。


「秘密は秘密なんだよ。

あー、そうだな。
じゃあ俺の席から退けてね、原本ちゃんっ」



何が秘密は秘密なのよ!!

そんな焦らさないでほしい。
毎回あたしがどれだけドキドキして期待してそのたびに落胆してるかなんて知りもしないくせに。



「あ、ごめんごめーん。
じゃあ、私も戻るね~~」



手をひらひらと振りながらそういうと、
菜実は自分の席へと戻っていった。