「...彼氏にしたい人は一人しかいないもん」


小さな声でボソッっと呟いたのを

俺は聞き逃さなかった。


一人しかいない...?


誰のことだよっ。


っていうことは、
好きな人がいるってことか...


なぜか、胸がズキズキと痛んだ。

仲のいい友達に彼氏ができると困るからかのか?


「ん?なんて?
いつもみたいなでっかい声はどうした?」


俺はわざと聞こえないフリをした。


「はいはい、話はここでやめとこ。

紗綾ちゃんに悪いからね」



まただ。


また、紗綾ちゃんを理由に話を切ろうとした。