その人の腕の中は暖かくて心地よかった。
「キミ、名前は?」
「山内・・・山内胡桃です。」
「山内、胡桃。2年?」
「はい。」
「そっか。たくさん、悩む時期だね。恋も、勉強も。」
「えっと・・・」
「大丈夫。ここにいる。何かあってもそっと手を差し伸べてくれる人がいるから。」
「あ、ありがとうございます」
「いいえ。それじゃ、これで。」
「ま、待ってください。
名前を、教えてください!」
「・・・桜木 日向 3年だよ」
「桜木先輩!ありがとうございましたっ。」
先輩はひらひらと手を振って教室を出ていった。
実はこの日、わたしは中学からの彼氏に、振られたのだった。
その傷をそっと癒してくれたのが、今の彼氏、桜木 日向先輩。