啓太に抱き締められている姿を、かず君が見てたなんて知らなかった。



かず君もきっと辛かったんだね。



先生と生徒だから一歩が踏み出せない。



華はまだ18才。俺には5才の子供がいて、二人で出かける事も出来ない。



華にはいつも掃除洗濯食事の支度をさせ、夕顔の世話までさせて、これじゃ家政婦と同じだ。



やっぱり俺じゃ駄目だ。



華の隣にいるのは俺じゃなくて、啓太の方がお似合いだと思う。



華ごめん。



今までたくさん無理させて。



華が好きだ。



だから幸せになって貰いたい。



啓太の腕の中で泣いてる華を見て、華を迎えに行ったのに、俺は雨の中傘もささずにマンションに帰った。



華を連れて帰らなかったから、夕顔がきっと怒るだろうな。




覚悟を決めた。



華の為ならどんな我慢も出来る。