「どーいたしまして」
そいつはそう言いながらあたしの頭を撫でた。
そんな行動に吃驚した。
中学に入ってから、同学年の人にそんなことをされるなんて…。
もう、口をポカーンと開けてることしかできない。
「え…あ、あわわ…」
「あわわって何だよっ」
そんなあたしを大口を開けて笑ってる。
失礼すぎますよ、本当。
「あ、俺のこと光陽って呼べよー」
地面に転がっていた、ソフトのボールを拾いながら微妙な声で呟いた。
あたしはその小さな声を聞き漏らさなかった。
「え…なんで?」
「光陽って名前だから」
ハイってあたしの手の中にボールを渡した。
「気が向いたら…ね」
「じゃあ、横橋のこと…」
「無理」
「え、まだ何も…」
「無理ったら、無理」
下の名前で呼ばせてとか言われちゃ困る。
てか、呼ばないで下さい。
そんなことしたら絶対周りから可笑しく思われる。
それだけは…嫌なんだよ。
