渚 稔(なぎさ みのる)
25歳
新入社員の育成を任された事で毎日疲れるように仕事をしている。
身体は小柄で可愛らしい風貌をしている。

大和 健(やまと たける)
31歳
BAR渚を経営している若手だがやり手のバーテンダー。
渚のことはある出来事からきになっていたが再会が叶わず30歳の時に開店したBARの名前にすることでいつか出会えると信じていた。
女性にモテる風貌をしておりBARの前はホストをしていたとか...

渚「あーあ、疲れた。なんで俺ばっかりこんな嫌な仕事任されるかなぁ〜」
いつもいつもヘトヘトになるまで働いてその癖見返りは何もない。
仕事とはそんなものなんだと割り切れれば良いのだがまだ割り切れるほど仕事をしていない。

渚「とりあえず一杯呑もうかな」
たまには寄り道をしようかと路地裏に足を延ばす。
すると、気になる看板が目に入った。

渚「BAR渚か」

大和「やぁ、いらっしゃい。ん?イチゲンさんかな」

渚「あ、すみません。いいですか?」

大和「どうぞ、お好きな席で」
あぁ、やっと出会えた。
渚さん。

渚「ん?なんかめちゃジロジロ見られてる?」

大和「あぁ、すいません。失礼いたしました。ご注文はどうされますか?」

渚「あー、マスターのオススメは?」

大和「渚の初恋です」
にこりと微笑みながら念願の渚さんを前に私は抱きしめたい衝動を抑えなければならないとは...

渚「ぶはっ、あ、あ〜、マスターあのさ、実は俺...渚って言うんですよ。だからたまたま立ち寄ってみたんですけど」

大和「はい」

渚「え?」
なんで名前知ってるみたいな言い方してるんだ?なんか怖いなこのマスター。

大和「あ、いや、その、あなたは忘れてるかもしれないんですけど、...これ覚えてますか?」

渚「え、名刺?しかも、入社したての時の部署のやつ」

大和「渚 稔(なぎさみのる)さんあの時はありがとうございました」

渚「あ、もしかして、大和 健(やまとたける)さん?え、あの階段の下でうずくまってた人?」

大和「はい、あの時は気分が悪くなり動けなくなっていたところを貴方が病院まで連れて行ってくださって...困ったら連絡して下さいと、名刺まで置いてくださって」

渚「あー」
あのあと遅刻して会社に行ったからめちゃくちゃ怒られたっけ。

大和「本当にありがとうございます。ずっと貴方を探しておりました。連絡先に連絡すれば良かったのですが会社の番号しかなかったので...」

渚「あーいえいえ、それは」
あれ?これは連絡先を教えたほうがいいのか?
いやいや、ちょっと怖いだろ。

大和「あの、よければご連絡先を教えてください」

渚「ストレートきたーあ、いやすいません」

大和「私はゲイなのでストレートではありませんよ?」

渚「えっ!?あ!?えーーーーっ!!」

大和「貴方は私の王子様そのものでした。宜しければお付き合いさせて頂きたいのですが」

渚「あ、いやっ、んんっ、んぐっ、ち、ちょっと待ってください」

大和「申し訳ございません、思わず抑えられずキスを...」

渚「えーっと」
とりあえず俺はこの状況についていけていないことは明らかである。
BAR渚 知らないお店に入ったことでいつもの街並みがまるで知らない世界にかわってしまったようだと俺は頭を抱えた。