松井ちゃんの言葉に、私の心が大きく動いた。
「安井さんは、もっと自分のもってる感情とか、近くにある大事なものに気づくべきだと思います」
「近くにある大事なもの……?」
「はい。難波さんのところに行って、安井さんのその手で難波さんのことを幸せにしてください。それが、安井さんにとっても幸せになる唯一の道だと私は思います」
私の手で難波を幸せにする?
そんな事が私にできるのか。でも、どうやって?
そんな事を頭の中でまだごちゃごちゃと考え続ける私の背中を松井ちゃんが押した。
「ほら、行ってきてください。私、安井さんの仕事もしとくんで」
「でも」
「いつも私の仕事もやってくれてるじゃないですか。たまには私だって安井さんの分もしますよ」
ほらほら、と松井ちゃんが私の背中をまたさらに強く押した。私は、松井ちゃんに「ありがとう」と一言だけ残し、難波を探しに歩き出した。
難波を探している間、私は何度も松井ちゃんや早川くん、秋加の言っていた言葉たちを思い返し、その真意を考えた。
〝答え、出てると思うけどな〟
〝難波さんと一緒にお話しされてる時の安井さんが一番安井さんらしい気がします〟
〝難波さんのこと、好きなんですよね? そうじゃないとしても、難波さんのことをそこまで考えてあげられるのって、多分、安井さんしかいないと思います。〟
〝近くにある大事なものに気づくべきだと思います〟

