頬に空気を詰めて怒っているような松井ちゃん。もう既に付き合い始めてから三週間程度は経つであろう二人の関係はまだそれ程進んでいないという事実に少しだけ私はホッとしてしまった。だけど、それが逆に切なくもあった。
「難波のことやから、大事にしてくれてるんちゃうかな。結婚も考えてる言うてたし、ほら、難波ってそういうとこあるやん」
きっと、松井ちゃんの事を大切にしたいんやろうな。
そう思うと、私の胸はまたぎゅっときつく縛り付けられるみたいに痛くなった。
「え、結婚考えてるって言うてたんですか? 難波さん」
私の目の前にある松井ちゃんの目がくるりと丸くなった。とっても驚いた様子の松井ちゃんに、私は「そうやで」と一度頷く。
「ええ、早くないですか? 正直、私なんか全然そんなこと考えてなかったです」
「え?」
「だって、私、まだ24ですよ? 難波さんの事は好きですけど、まだそこまでっていうか……それに、まだまだ遊びたいですし……」
松井ちゃんの言葉に、私の胸の奥から大きなものが込み上げてくるような気がした。
「でも、松井ちゃん、それやったらなんで難波との仲とり持ってって言うたん」
「え、それは、顔がタイプやったし、ちょっといいなって思ってたから……」

