自分の気持ちを探す。そう決めた私の中に、答えは少しずつ顔を出していた。いや、もう、本当は分かっているのかもしれない。


「難波」

「安井か。なんか、久しぶりやな」


 その答えをより確実なものにするため、私は、会社の外にある喫煙コーナーにいた難波に話しかけた。

「急にどないしてん。今まで、あんなに避けとったくせに」

 難波は、まだ吸い始めたばかりであろうタバコの火を消すと、喫煙コーナーから少し離れたところまで歩き始めた。きっと、タバコを吸わない私に気を使ったのだろう。そんな事くらいは簡単にわかった。

「ごめんね。松井ちゃんとの事もあるし、あんまり話さん方がええかなと思って」

「ああ、そういう事か。てっきり、早川とうまくいっとるで避けとるんかと思うたわ。っちゅうか、そんなん、今更気つこうてどうすんねん。俺が結婚しとる時は、いつもと何ら変わらんかったやろ」

「……あ、そうやった。そう言えば」

 難波が結婚をした後、私達は何も変わらなかった。いつもと変わらず、毎日のように話をしていたし、今と変わらず難波は私の話を聞いてくれていた。

「アホか。で、そっちはどうやねん。上手くいっとるんか?」

 難波が、少し口角をあげて言った。