それからというものの、私と難波は前ほど話さなくなってしまった。話さないというより、私の方が避けてしまっているという方が正しいのかもしれない。
難波とまともに話をしないままで二週間ほどが経つと、私は早川くんから驚くような話を聞いた。
「難波さんと松井さん、付き合ってるみたいですね」
「えっ?」
退勤後、早川くんと初めて二人でご飯をした小洒落た居酒屋に来ていた私達。
週に一回か二回程度の間隔で早川くんとご飯をしていた私は、そのご飯の最中、早川くんのこの言葉により箸の動きが止まってしまった。
「あ、もう安井さんなら知ってるもんだと思ってたんですけど……難波さんから何も聞いてないですか?」
「え、あ……うん。最近、ちょっと難波と話せてなくて」
「そうなんですね。この間、二人でご飯食べてるところに鉢合わせたんですけど、そしたら松井さんが付き合うことになったんだって言ってました」
お二人ともいい感じでしたよ、と早川くんが付け足した。
彼は何の悪気もないだろうが、どうしてか私の胸はぎゅっと締め付けられて痛くなった。
この胸の痛みは、いつも側にいてくれた同期が先を歩き始めたという事実による寂しさからか、それとも、その事実を本人の口から聞けなかったことによる悔しさなのか。分かるはずもないけれど、私はひたすらこの胸の痛みの理由を考えていた。

