難波、松井ちゃんと結婚するんかなあ。なんて、私は早くもそんな事を考えた。

 でも、松井ちゃんは難波のことを気に入っているみたいだし、おじちゃんも良い雰囲気で話してたって言ってるし。あり得なくもない話だ。

 そうなったら、私はまた置いてきぼりか。


「私も……前に進まなあかんのかな」


 正直、今日の早川くんの話には困っていた部分もあった。突然あんな事を言われて嬉しい反面、驚きと困惑とで私は身を引いてしまいたかった。

 やっぱり、上手くいかないんじゃあないか。また失敗してしまわないか。また、結局結婚まで有り付けないのではないだろうか。

 そんな事を考えてしまい、早川くんにはきっぱり断りを入れよう。そう思ってもいた。

 だけど、難波が前に進んでいるのなら、私も進むしかない。

 難波には幸せになってほしいし、難波も私にそう思ってくれていた。誰よりも、私の事を考えてくれた。だから、私はその難波の気持ちに答えないといけない。


「決めた」


 私はこうして、まるで自分の心にそう言い聞かせるようにしながら、ひとつの決心をした。