私が結婚する為に実践している事の話を始め、松井ちゃんとのご飯の話や他愛もない話をし続け休憩時間はあっという間に終わりにさしかかった。
他の部署に用事があると言った難波と別れ、ひとりオフィスまでの廊下を歩いていると、突然背後から「安井さん」と声がかかった。
「え、あ、早川くん」
振り向くと、そこにいたのは早川くん。今日も相変わらず爽やかなオーラを醸し出している早川くんは、私の顔をじっと見るなりにこりと笑う。
「イメチェンした安井さん、やっと近くで見れた。やっぱり、想像通りすごい可愛いです」
「えっ?」
「前も綺麗でしたけど、今の髪型もメイクも素敵ですね」
あまりにストレートに私の髪型やメイクを褒めてくれる早川くんに、私は少し、いや、かなり戸惑った。
「えっと……あ、ありがとう」
こんなに面と向かって褒められ、照れくさく感じた私は俯いてお礼を言う。すると、俯向く私の耳には意外な言葉が入ってくる。
「ね、安井さん。今度、僕と二人でご飯行きません?」
「へ?」
「明後日とか、どうですか?」
「え? えっと……」
ちょっと待って。私、今、営業部男子でダントツ人気の早川くんにご飯を誘われてる?
信じられない現実に、私の頭の中は最早滅茶苦茶だった。返事をしようにも全く頭が追いつかない。
「まぁ、考えといてください」
それじゃあ、と言った早川くんが私より先に廊下を歩いていく。私は、そんな早川くんの背中をただただぼんやり見つめていた。

