「私の中で致命的に欠けてて、結婚する為に一番必要なもの……?」
しばらく私は考え込んだ。考えに考えたけれど、その答えが出てくることは無かった。
「お前、ほんまに阿呆やな。頭悪すぎ。ほんなもん、考えんでも料理に決まっとるやろ。料理」
考えても答えが出ない私を見兼ねた難波が、私が答えを出すより先に正解を発表してしまった。
「……料理ね」
答えを聞いて、ああ、なるほど!となる事もなければピンとこない訳でもない。ただ私の中には〝料理〟という言葉に少しだけ嫌気がさしていた。
「ほら、よう言うやろ。男心より胃袋掴めって。料理が出来へんお前には残念なお知らせやけど、この言葉はほんまもんやで。ほんまに胃袋掴まれたら男はイチコロや」
「……そうなん」
「せや。女が料理できるんは当たり前や思うてる男はほんま多いからな。料理が出来へん女は、男で言うたら何の免許も持っとらん男と同じようなもんや」
「車の免許とか持ってへん男と、料理できへん私は同じやって言うてるん」
「まあ、そういう事になるなあ」
「でも、ほんなん、都会に住んどったら車の免許いらへんやん。料理だって、出来んからって困ることないわけやし……。料理、苦手やもん。やりたない」

