「損、ですか」
「そう。損。逆に言えば、自分の出来ない部分を誰にでも全面的にさらけ出すことが出来る子は、得をしてる。女として勝ち上がりたければ、自分の弱みをさらけ出せる相手。自分の弱みに気づいてくれる相手に出会うこと」
頑張りなよ、と言って秋加が私の瞼にシャドウを乗せていく。その間、私は彼女の言った言葉について考え続けた。
その後も、結婚についてやメイクのことについて聞きながらメイクをしてもらった。とにかく、ふんわりしたメイクが一番ウケると教えてくれた秋加は、大体20分程度で私のメイクを仕上げてくれた。
「ほら、見てみて」
秋加が私に鏡を手渡す。私は、それを自分の顔の方へと向けた。すると、そこに映ったのは今までの自分とは全く違う自分だった。
「嘘、全然ちゃう。え、なにこれ、ほんまに私?」
嘘、嘘、嘘、と何度も呟く。本当に自分なのかが分からない。そのくらいに私の容姿は変わっていた。
ブラウンのボブヘアに、シャドウと薄いマスカラだけをしたふんわりとしたナチュラルメイク。シャドウとマスカラだけとはいえ、薄すぎない化粧がちゃんと柔らかい雰囲気を醸し出している。
「信じられへん」
これは最早魔法だろう、なんてことを考えていると、ご満悦そうに目の前の秋加が笑った。

