難波とは、もうかれこれ6年くらい一緒にいる。この会社へ入社してすぐに仲良くなって、それから今の今までずっと変わらない。
何だかんだ言って、いつも私の事を気にかけてくれる難波は、一緒にいて落ち着くし、誰よりも頼れる良き理解者だ。
だけど、そんな難波のことを恋愛対象として見たことはたったの一度もない。それは、私だけじゃない。難波だってきっとそうだ。
「あら、そうなの。悪いけど、こっちの方がびっくりだわ」
もういいわ、と言った秋加が、私にお高いと有名なクレンジングオイルを手渡してきた。
「え」
「メイク、落としてきて」
「え?」
「ほら、早く」
「え、あ、はい」
手渡されたクレンジングオイルを手に、私は急いでメイクを落とし始めた。
どうして私は美容室の休憩室なんかで素っぴんになろうとしてるんだ。と、不思議に思いながらメイクを丁寧に落とし続ける。
そして、完全な素っぴんになると、秋加が目を丸くした。
「素っぴんの方が可愛いじゃない」
「え?」
「元がいいのに、あんなどぎついメイクしてどうすんのよ。あれじゃあ結婚できない。そりゃあ、毎度彼女止まりよ」
今日会ったばかりだというのに、グサグサと鋭い矢が心に突き刺さる。私は褒められているのか、貶されているのか分からなかった。

