「髪、似合うわね。郁人が言ってたとおりだわ」
イスに腰をかけている私の目の前で腰を屈め、しっかりと私と目を合わせて彼女が言う。あまりに綺麗な顔を目の前にして、私の中で少しだけ緊張感が高まった。
キリッとした瞳に、薄くて綺麗な唇。金髪の髪は先程までの私と同じくらい長い。
そんな事より、彼女も今難波のことを〝郁人〟って下の名前で呼んでいた。ひょっとして、この人も難波の知り合いだろうか? そんな事を考えていた私の思考回路を読んだのか、それともただの偶然か、彼女は難波との関係性を口にした。
「私もね、郁人と同級生なの。さっきの黒崎と私と郁人。3人高校が一緒で同じクラスだった」
「そうなんですか」
なるほど、そういう事か。と納得している私の目の前で、彼女は一瞬ニヤリと笑った。そして、口を開くと。
「因みに私ね、郁人の元カノ。高校時代に付き合ってたの」
そう言って、私に大きくて綺麗な目を向けてきた。
「え、あ、そうなんですか」
一瞬、驚いた。それは、本当に一瞬。
「難波のやつ、こんなべっぴんな姉さんとお付き合いしとったんですね。なんか、むかつく」
難波がこんなに綺麗な女性と付き合うなんて。ちょっと、生意気だな。と思った。
私の高校時代は、何もなかったわけではないけれど、こんなに華やかな人と付き合ったという記憶もない。そんな私からすると、こんなに綺麗で華がある女性と付き合うことのできた難波が羨ましすぎる。

