なんて、すべての事柄に理由付けをすることほど、ナンセンスなことも分かっている。

 世の中、ファジーに生きていた方が、都合がいいこともある。

 すべてが理解出来るからといって、幸せになれるとも限らない。


 とはいえ、今まで軽々と勉強だって、世渡りだって上手くこなしていたと自負している自分としては、理解できないことがあるという現実は結構ストレスを伴う。



 限界を知らしめられて。

 無力なちっぽけな人間であると思い知らされて。



 別に自分が万能な人間であるとか、自分だけが選ばれし特別な人間であるとか、そんなことはさすがに思わない。

 とはいえ、フラストレーションは募る一方だ。



 そんなことを思いつつ、ノリチャンにデレデレの表情をしつつ、黒板に答えを必死に写していくユウの計算式を見ていて気付く。



「あ……」



 ヤバい。

 代入する値、一桁間違えてた。


 そんなケアレスミスさえ気付かぬほどに、禅問答を繰り返している自分が馬鹿らしくも思えてくる。


 それでも、止められない。止まらない。

 彼女を見ると……、天瀬を見ていると、自分の中で葛藤ばかり繰り広げられる。