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見なくてもわかる。
彼は、そのくらい圧倒的な存在感を持つ人。
振り向かなくても感じる。
彼は、それほど強力な引力を持っている人。
だからこそ私は、彼が気になって、気になって止まないのかもしれない。
そんなことを思いつつ、サンドイッチをすべて完食し、学食を去ろうと椅子を立つ。
いつも親友と楽しそうな表情をし、時には深刻な表情をし、彼は皆を惹きつける。
彼らは分かっているのだろうか。
自分たちのルックスの良さからくる1次的なファンと、彼らの能力に惹かれる2次的なファン。
そして、そのすべてのファンから白い目でみられている私、天瀬からの興味深くも珍しい存在として観察しているまなざしを。
私、天瀬かおりは……人間らしい感情が欠落している。
