また、だ。
またユウに助けられる。
ユウは絶対に核心に触れることはしない。
ギリギリのスレスレまで近づいて、俺の心にさざ波を立てて、そして笑顔を振りまき、束の間の清涼感をあたえてくれる。
まるで、自分の本音を隠すんじゃないぞというかのように。
そして、その事実に打ちのめされない様に。キチンと逃げ道を作ってくれるかのように笑顔をくれる。
俺は、確かに天瀬には劣るが、勉強は出来る。
スポーツも出来れば、要領も良い方だ。
でも、ユウのように、他の人のためになることを全力で力添えする優しさや覚悟なんかは一切ない。
だからこそ、ユウのことを尊敬し、続いている友情もあるとは理解している。
理解している……が。
それでも、何となくアンニュイな気分になってしまうのは、きっと天瀬のことでモヤモヤした気持ちがあるからだと思っている。
でも、情けないことに、天瀬に対してどのようにしたいと思っているのか。そして、どんな未来を望んでいるのか。
そんなことまでは、自分のことだというのに理解することができなかった。
だからこそ、そういう能力に関しては劣等生だと言わざるをえないだろう。
