「そうだ。理久、お前出勤時間まで暇だろ?飯も食べ終わったことだし、少し出かけないか?」


と俺に言う悠貴に面倒くささを感じる。仕事などの必要な時にしか外に出たくない俺にはただただ嫌な提案としか思えなかった。

そんな俺の心情を読み取ったのか、悠貴は〝暇なら強制で連れて行くからな。〟と付け足す。

…仕方ない。悠貴を怒らせた方がもっと面倒な事になりそうだ。説教やらなんやら…って。俺は一つ溜息を付いて軽く着替えてあったかめのカーキ色のコートを着る。

準備も整って玄関のドアを開けると一気に寒い風が部屋に入ってくる。こんな寒い中、悠貴はどこに向かうつもりなのだろうか…