私は中学三年生の夏から塾に通い始めた。



いわゆる受験戦争に勝ちあがるため。



私の親は勉強にうるさくはないけれど、母子家庭のため母は公立高校に行ってもらってほしいと思ってるはず。



口には出さないけど、きっとそうだ。


だから私に塾に通わせ始めた。




前に座っている彼は冬から塾に通い始めた。




名前は大島佑都。


私の名前は大嶋楓。




名字の漢字は違うけど、読み方は一緒。


先生に「おおしま。」と呼ばれるときは、たいてい二人とも返事をする。




そのこともあるのか、お互いは少し意識をしていた。


けど接点もない私たちは話すことはなかった。