「夏芽、引越しするって本当?」



「1か月後に。でも学校は変わらないよ」



「なーんだ!良かったぁ。夏芽がいなくなったらあたしどうしようかと思って…」



「さくらちゃん…」



さくらちゃんはやっぱり可愛い。



立派な女の子で、小さくてふわふわしていて、天然さんで。



「夏芽大好き〜」



「もー!!!」



さくらちゃーん。



さくらちゃんはあたしにひっついた。



「お前ら朝から暑ぐるしい」



「舜!」



さくらちゃんがその声に素早く反応する。



「なに」



「舜、そんな事言って実はあたし達が羨ましんでしょー?」



「は、ぶち殺すぞ」



「なっ、でも正直言って…」



「うぜぇ」



さくらちゃんは間宮くんの反応に笑う。



なんやかんや言ってこのふたりは1年生の時から仲がいい。



ふたり見ててすごく面白いし、なんて言うか



ほんわかする。



って言っても、別にふたりは恋人なんかじゃないけど。



だけどお互い好きなんじゃないかな?



少なくともさくらちゃんは間宮くんが好き。



そんなさくらちゃんをあたしは精一杯応援する。



だって間宮くんに恋するさくらちゃんが可愛すぎるんだもーん。



「はい、席についてください」



クラスのみんながザワザワと自分の席につき始めた。