ーいつもの日常ー


...ーねぇ、なんで私達をおいていっちゃうの!いかないでよ!!ー...

ピピピ...カチッ
うるさくなってる目覚まし時計を止めて起き出す。

今日も、またいつもと同じ夢を見てしまった。

その夢は、私が小学4年生のときに交通事故で亡くなってしまったお母さんの夢。

でも、その時はまだ小さかったからよく分からなくて。

今では立派に大きくなった私は、お父さんに苦労させないように家事とかしっかりとこなせるようにまでになった。

「おーい、蜜ー、起きろぉー!」

「今から行くー」

今、下から私を呼んだ人は私のお父さん。

一流企業で働いててかなり凄い人。らしい。

あっ、自己紹介が遅れました!

私の名前は、美園 蜜(みその みつ)。

高校2年生。

私は、ベッドから出て制服に着替える。

今日から夏の制服。

可愛らしい制服は、私の気持ちを上げる。

偏差値があまりない私は、制服で高校をきめたもんだった。

ちょうど胸あたりまで伸びている髪の毛をひとつに結び、少し毛先を巻く。

鞄を持ち、階段を下りてリビングへ向かう。

リビングへ入るとお父さんが朝食を並べているところだった。

「お父さん、おはよう。手伝うよ」

「蜜、おはよう。ありがとう」

お父さんと挨拶を交わし、お皿を受け取って並べていく。

「じゃあ、食べようか」

「うん」

「「いただきます」」

ニュースの声しか聞こえない中、2人の声が重なり響く。

「蜜、もう少しで文化祭だな」

「うん、凄く楽しみだけど劇だよ!私が!」

「蜜が劇とは、母さんみたいだ」

笑いながらお父さんは目を細めながらお母さんとの写真を見つめる。

楽しみをお父さんと話していると学校に行かなくてはいけない時間が迫ってしまった。

「やっば、行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

私はすぐにローファーを履き、玄関の扉を開けて家を出た。

私の通う学校は、電車で10分くらいの所だ。

それなり遠くはない。

駅まで歩いてると後ろから男の人に話しかけられた。

驚きながらも後ろを振り向くと頼がいた。

熊谷 頼(くまがや より)。

頼とは、幼なじみで小さい頃から一緒にいることが多かった。

頼は見た目も完璧、運動神経抜群、それに成績もトップクラスレベル。

もう、いわゆる完璧男子だ。

でもなんでだろう。

頼ならもっと上の学校に行けるのに下の私と同じなんだろう。

でも、幼なじみの頼と一緒に学校で過ごすのが私にとっては凄く嬉しい。

「おはよ、蜜」

「おはよう!頼」

頼とも挨拶を交わし、二人で並んで歩く。

「蜜、夏の制服も似合ってるじゃん」

「まぁ、制服で選んだものだもん」

私が笑いながら言うと、

「可愛いじゃん」

と言ってきた。

「なに急に。頼、熱でも出たの?でも、頼もやっぱり夏服似合ってるよ」

「そーか?」

「うん、カッコイイ...」

「...なぁ」

「んー...?」

私は、後ろを振り返り、立ち止まる頼を見つめる。

「...」

「頼、どうしたの?」

「...、いや、なんでもねぇ...」

「...?そっか。あっ、時間!」

「ヤベっ、走らないとだぞ!」

太陽がなにを言いたかったのか分からないまま、頼が私の手を掴み学校まで走った。

教室に入る時間は、ギリギリ。

席に着き教科書を準備していると、

「みーつ!おはよ!」

私の肩を勢いよく叩き、急に後から現れた。

「びっくりした...。優人」

彼は、鈴木 優人(すずき ゆうと)。

優人も私と頼の幼なじみでいつも3人でいた。

優人も頼ほどではないがそれなりに頭はいいし、運動神経いいし、イケメンだし...。

なのに、なんで優人までもが下の私と同じ学校なんだろう...。

「おぉ、優人おはよ」

「おっ、頼おはよ。ってかさ、今日から夏服なのか。みーつ、可愛いじゃん」

「えっ!?」

「夏の制服も似合ってる」

「あっ、ありがと...。でも、さっき頼にも言われた」

(今日の2人なんなの!?本当に!)

「だって俺からも太陽からも可愛く見えてるからじゃん」

「え、2人とも熱?」

熱じゃないかと心配するまででもない。

いつもはこんなことめったに言わないのに。

色々考えていると、先生が教室に入ってきて授業が始まった。

(はぁ、1時間目から数学とかやってらんない)

「じゃあ、この問題を......美園!」

「...えっ!?」

「美園、お前が前に出て解いてくれ」

「む、無理!」

「無理って...1時間目からぼーってして、熊谷と鈴木に可愛いって言われて浮かれてるからだろ?」

(先生は笑いながら言うけど、なんでそれを知ってるのさ!先生の言葉で皆も笑うし、。)

「はぁ、じゃあ、美園は分からないみたいだから特別課題を出すとして、この問題を...熊谷にお願いするか」

「えぇ!?私特別課題!?無理ぃー」

「先生、出来ました」

「熊谷、正解だ。さすがイケメンだな」

特別課題なんて本当についてない。

ため息ついてると解き終えて自分の席に向かう頼が、耳元で

「ドンマイだな」

と耳元で言った。

なんなのよー!!


放課後になり、私達は帰る支度をしていた。

今日1日も、もう終わりだ。

この2人といるといつも1日の時間があっという間すぎる。

毎朝頼と学校に行き、授業受けて、3人でお昼休み過ごして、そして放課後も一緒に帰る。

これが私達の毎日の日常だ。

「蜜、帰れるか?」

後から支度を終えた頼が私に声をかけた。

「うん、終わったから帰れるよ」

「じゃあ、帰るか。蜜、特別課題やらないとだろ?」

(わ、忘れてた...。)

「う、うん。」

「教えてあげるから帰って課題やろ」

2人で課題をやると約束をしているうちに支度を終えた優人が近づいてきた。

「そこでイチャるな。さっさと帰るぞ!」

先に歩いてしまう、優人の背中を追いかけ私達は走った。

このような仲良しの生活をこれからもずっと送りたいと思う。

ーだけど、それには高い壁を登る必要があることは、今の私には分からない。