あれから4時間50分が経過していた。


「あと、10分だよ。」



「もう、無理だよ……こんなんじゃ間に合わない。」



「雅ちゃんっ!クラス皆で絶対守るから。」


雅ちゃんは、泣いていた。


私たちはある、大きな公園に来ていた。
そこは、大きなグラウンドと遊具、花壇、池がある。



5時間が経過しようとした時。


バシャンッッッッッッ
「キャーーっっっ?!?!?!」


「雅ちゃんっ?!?!?!」
雅ちゃんは誰かに引っ張られるように池に落ちた。



「助……けてっ」



「誰か浮き輪替わりになるもの持ってきて!」


「ペットボトルならあるよ!はい!」


「雅ちゃんっ!これに捕まって!」


私たちはペットボトルを池に向かって投げた。
雅ちゃんは、何とかペットボトルに捕まることが出来た。



「怖かった……。本当に死ぬかと思った。」


「大丈夫?早くこっちにおいで!泳げるでしょ?」


「うん!私このクラスで水泳は、トップよ」



雅ちゃんはそう言いながらこっちへ泳いでくる。
良かった。
もう大丈夫だ……


「おい、何だあれ?!」



「何か近づいてる……」



「雅ちゃん急いでっっっ!!!!」



池のそこから黒いもやのようなものが浮かび上がって雅ちゃんの方へ向かっている。


「キャーっっ!?!?!?!?!?」




ドボンッッッッッ
ボコボコボコボコボコッッ






雅ちゃんは、この時何者かに池の中へ引き込まれた。




「雅ちゃんっっ?!」

「ねぇ、どうして上がってこないの……」


あれから、私たちはすぐに大人を呼んで池を搜索した。



けれど数日経っても雅ちゃんの遺体は、見つからなかった。


ただ、雅ちゃんが身につけていた赤いリボンだけが水面に浮かび上がっていた。