すかさず、そう返した桐谷先輩。笑ってない。きれいな顔の人が、真顔で私をじっと見て言うもんだから、少しひるんでしまう。
「遊ぶ?」
「ほら」
彼が伸ばした手のせいで、小さな風を感じた気がした。ほんの一瞬の出来事。桐谷先輩は私のキャンバスの中のりんごに、自分の人さし指についたままだった色を、まるでスワイプするように置いた。
「青っ!?」
これでもかっていうくらいの赤の中に、とてつもない存在感を持つ、子どもの落書きのような青。
「ハハッ。その顔っ」
思わず腰を浮かせて驚いた私の顔を見て、桐谷先輩が顔をクシャッとさせて笑った。
「あっ、遊んでるのはそっちじゃないですかっ!? 私の初めての油絵の作品になんてことをっ」
「これで遊べるでしょ? 水島さんも」
「台無しです!」
「じゃあ、台無しついでに、グチャグチャに好きな色塗っちゃえばいいよ」
拳を振りあげて怒る真似をする私に、アハハハ、と本当に悪ガキのように笑う桐谷先輩。なんなんだ、本当にこの人は。やっぱり、変な男だ。
「もういいや。こうします」
ヤケになった私は、パレットに思いつくままに絵の具を出した。そして、その青に半分かぶせてオレンジ色をのせ、次いで、緑、黄色、紫、白と、リンゴらしからぬ色をグラデーションみたいに重ねていく。
「遊ぶ?」
「ほら」
彼が伸ばした手のせいで、小さな風を感じた気がした。ほんの一瞬の出来事。桐谷先輩は私のキャンバスの中のりんごに、自分の人さし指についたままだった色を、まるでスワイプするように置いた。
「青っ!?」
これでもかっていうくらいの赤の中に、とてつもない存在感を持つ、子どもの落書きのような青。
「ハハッ。その顔っ」
思わず腰を浮かせて驚いた私の顔を見て、桐谷先輩が顔をクシャッとさせて笑った。
「あっ、遊んでるのはそっちじゃないですかっ!? 私の初めての油絵の作品になんてことをっ」
「これで遊べるでしょ? 水島さんも」
「台無しです!」
「じゃあ、台無しついでに、グチャグチャに好きな色塗っちゃえばいいよ」
拳を振りあげて怒る真似をする私に、アハハハ、と本当に悪ガキのように笑う桐谷先輩。なんなんだ、本当にこの人は。やっぱり、変な男だ。
「もういいや。こうします」
ヤケになった私は、パレットに思いつくままに絵の具を出した。そして、その青に半分かぶせてオレンジ色をのせ、次いで、緑、黄色、紫、白と、リンゴらしからぬ色をグラデーションみたいに重ねていく。



