「無理だよ・・・」
「・・俺は、お前のそばにいれるだけで、幸せなんだ。だから、俺のことなんて気にしなくていいから・・それが、俺の願いなんだよ。さくらにしか、俺の願い、叶えられないんだよ」
「・・・」
そんな言い方、ずるいよ・・。
ずるいよ、大地・・。
「なあ・・頼む」
「・・・」
「さくら・・・」
大地は、泣きそうな顔で、微笑んだ。
「・・・うん・・」
こんな顔で頼まれたら、断れないよ・・。
「ありがとう・・」
そう言って、大地は、そっと私を抱きしめた。
私には、大地の気持ちがわかる・・。
見てるだけなんて、辛いよね・・。
一緒にいられるだけなんて、辛いよね・・。
好きな人が、自分のことを見てくれないなんて、辛すぎる。
だから、私、お兄ちゃんのこと、頑張って忘れるから。
大地のこと好きになるように、頑張るから。
それまで辛いかもしれないけど、私、頑張るから・・。
「・・大地」
「ん?」
「・・・ありがとう」
「うん」
大地は帰るまで、ずっと私を抱きしめていた。
大地の優しさが伝わってきた。
大地の暖かさが身に染みた。
早くお兄ちゃんのこと、忘れるね・・。
大地と、手を繋いで帰った。
暖かい手だった。
私の心だけが、冷たく感じた。

