優しい大地とお兄ちゃん






放課後になり、私は帰ろうと玄関に向かった。

その途中の廊下で、お兄ちゃんを見つけた。

彼女と、一緒だった。

一緒に、手を繋いでいた・・。



「・・・」



胸が痛い・・。

心が痛い・・。


しばらく見てると、二人はひと気のないところに移動した。

私はバレないように、後をつけた。

後をつけたことを後悔した・・。

二人は、物陰で、キスをしていた・・。

お兄ちゃんは、優しく彼女を、抱きしめていた。

私は走って、その場から逃げた。

涙が溢れてきて、止まらなかった。


もう、死にたい・・。


本気でそう思った。


角を曲がったところで、誰かとぶつかった。



「ごめんなさい・・」



私は、相手が誰なのかも見ずに、謝って逃げようとした。

でも、その相手に腕を掴まれ、逃げれなかった。



「さくら・・?」



聞き覚えのある声。

顔を上げると、ぶつかった相手は大地だった。



「お前、何で泣いてるんだよ」


「・・・」



大地に、泣いてるところを見られてしまった。

何も言わずに、私は俯いた。

大地の手に、力が入った。



「さくら」


「・・・」



私は何も言わずに、また走って逃げようとした。

だけど、それは無理だった。

逃げようとした私を、大地は後ろから強く抱きしめた。

大地の温もりが、背中から伝わってきた。



「逃げんなよ・・」


「・・・」


「話ぐらいなら聞けるから、話してみろよ・・」