「・・・ただいま」
私は小さく呟いた。
「さくらっ!」
お兄ちゃんの声は怒っていた。
お兄ちゃんは怒ると、片眉が上がって目が充血する。
目の前のお兄ちゃんは、まさにそれだった。
「どこ行ってたんだ、心配したんだぞ!」
「・・・ごめんなさい」
私がそう言うと、勢いよくお兄ちゃんが抱きついてきた。
抱きつかれた腕が、少し痛かった。
私はお兄ちゃんの行動に戸惑った。
どうしよう・・。
お兄ちゃんが、私に抱きついてる・・。
どんどん早くなっていく鼓動。
私は頭が真っ白になった。
「お、お兄ちゃん・・?」
「心配させんな、心臓止まるかと思っただろ」
「・・・」
私はお兄ちゃんから、とりあえず離れようとした。
だけどお兄ちゃんの力は強く、離れられなかった。
「俺のせいか?俺があんなこと言ったから・・・それとも、あいつのせいか?」
「え?」
お兄ちゃんに抱きつかれているから、お兄ちゃん顔は見えなかった。
だけど怒っているような声だった。
「宮崎に、唆されたのか?」
「ち、違うよ!」
慌ててそう言うと、お兄ちゃんは私を離してくれた。
そのままお兄ちゃんは私の頭に手を置いて、優しく撫でた。
「さくら・・・あいつとはもう、関わるな」
お兄ちゃんは優しい声で言った。
「や、やだ!」
私はお兄ちゃんに反抗した。
私自身のこと以外は、今までお兄ちゃんの言う通りにしてきた。
だけど今日初めて、お兄ちゃんに反抗した。
「・・・」
「なんでそんな事言うの!?お兄ちゃんのばか!」
そう叫んで、私は自分の部屋に駆け込んだ。
普段は使わない鍵も掛けた。
信じられなかった。
誰にでも優しいお兄ちゃんが二回もあんな事言うなんて・・。

