扉が閉まり、お兄ちゃんと二人きりになった。
私はお兄ちゃんの横を通り過ぎて、自分の部屋へ行こうとした。
「さくら」
お兄ちゃんに呼び止められた。
私は足を止め、何も言わずにお兄ちゃんを見た。
「・・さくら、お前、あいつと別れろ」
「は?」
何言ってるの?
なんでそんなこと言うの?
お兄ちゃんは、笑顔だった。
だけど、辛そうな笑顔だった・・。
「別れろ、いいな?」
「・・なんで?」
「・・俺が、嫌だから」
それだけ言って、お兄ちゃんは私の横を通り過ぎ、自分の部屋へいってしまった。
私は一人、廊下に取り残された。
私は、どうしてお兄ちゃんがあんな事言ったのか分からなかった。
どうしていつも、お兄ちゃんは私を苦しめるの・・?
俺が、嫌だから。
頭の中で、この言葉が何回もリピートされた。
お兄ちゃんには、ちゃんと彼女がいる。
キスだってしてたし、優しく抱き締めていた。
その光景を思い出して、また胸が締め付けられた。
私は、自分の部屋で枕を抱き締めながら、声を殺して泣いた。
苦しい・・。
辛い・・。
もう、お兄ちゃんに振り回されるのは嫌だよ・・。
お兄ちゃんの部屋から、彼女に電話してる声が聞こえてきた。
"お前を、愛している"
そう聞こえてきた。
苦しくて、また涙が流れた。
彼女を愛しているなら、あんなこと言わないでよ・・。
・・ねえ、大地。
私どうしたらいいの?
大地と別れた方がいいのかな・・?
考えても、答えは出なかった。
嬉しそうに、手を繋いでくれる大地。
優しく、抱き締めてくれる大地。
私を支えたいと、言ってくれた大地。
辛いこと全部俺に言ってと、言ってくれた大地。
私、大地に甘えてもいいのかな・・。
・・気がついたら、私は大地に電話をしていた。

