母は、目を閉じる

「フォルティスは魔王の元で育ち、忠実な騎士として皆に慕われていました。フォルティスの騎士時代の呼び名はゼロ。悪を滅し、被害に遭った方々の幸せを新たにゼロからスタートさせる騎士。民に慕われ、民とともに生き、民とともに喜び、悲しむことの出来る、優しい騎士でした。」

ステラとレオは静かに聞いていた。

レオが口を開く。

「母上、ゼロとは、父上とは、現在、空っぽの騎士と呼ばれる者のことですか?」

母は悲しそうに言葉を出そうとする。

しかし、母の姿は急に砂嵐が起きたかのように、揺らぎ始める。