「夢か...」

こっちの世界に来てから零の夢ばかり見る様になった。
小さい頃から1日も欠かさず見続けていた夢は、私の前世の記憶、カレンとレオの記憶が蘇ったあの日から見ていない。

「もう、零には会えないのかな...」

小さな雫が私の頬を静かに濡らした

コンコン

ドアをノックする音が聞こえ、慌てて涙を拭う

「どうぞ」

小さく呟くとハバトが部屋に入って来た

「姫様、今日は悪魔界の王子がやって来る日だそうで、お祝いに参らねば成りません」

ハバトの言葉に驚いた私は、聞き返した

「え?どうゆう事?他の世界の人も私みたいに転送されて来るの?」

そう聞くとハバトは、

「ああ、そう言えば教えていない事がありましたね。人間界を除く全ての世界の王族は、生まれて直ぐに能力を封じ込め人間界に送り込まれます。そして17歳の月までは人間として育てられ、17歳になる日の始まりの刻にこちらから使者を送り、こちらの世界へ自動的に転送されて来るという決まりになっています。」

ハバトは私にそう伝えた

「どうしてそんな面倒な事をするの?」

私がそう聞くと、ハバトは少し悲しそうな顔をした